このブログについて

 

2016年にロシアにて正教会で洗礼を受け、現在は日本で信仰生活を送るrinが、気ままに正教会に関する記事を執筆しています。

 

初めての記事なので、少し自身のことについて…

 

キリスト教との出会いは幼い頃。祖母がプロテスタントでした。とはいえ、クリスチャンの祖母は物心ついて間もない頃亡くなり、私に残されたキリスト教を知る唯一の鍵は聖書でした。物語としても好きだったし、悲しい時にぱらぱらとページをめくり、目についた箇所を読んでは心を落ち着かせていました。いつか洗礼を受けたいと思っていましたが、なかなかその機会は訪れませんでした。

祖母がプロテスタントだったこともあり、プロテスタントで洗礼を受けようと思っても、宗派が複雑でよくわからず、結局教会に足を運ぶことはありませんでした。では、正統派に思えたカトリックはどうでしょう。いくばくかの希望を湛えながら、もしかしたら「縁」があるかもしれないとカトリック系の大学に進学しました。ところが、私はその大学で何を学んでいたかと言うとロシア語で、ロシアの国教である正教会に出会いました。初めて親友と訪れたロシアで、私はイエス・キリストのイコンに強く心を惹かれました。モスクワ総主教座の救世主ハリストス大聖堂という有名な聖堂の地下にそのイコンはありました。不思議なことに、一度そのイコンに感銘を受けたきり、それ以降この教会を訪れても同じイコンに出会えません。そのイコンがどこか別の場所に移されてしまったのか、鑑賞者の私が変わってしまって見つけられないのかわかりませんが、このイコンに出会って、私は正教で洗礼をしようと決めました。ちなみにイコンこそが、正教会における最も重要な信仰の担い手のひとつです。

さて、時間こそかかりましたが、その後私は、小田原にある正教の小さな教会の神父の助言を経て、サンクトペテルブルク大学大学院進学時にお世話になったサンクトペテルブルク神学校で2016年に受洗しました。聖名はイリナ。マケドニアの聖人で、名前には「平和」という意味があります。そういえば、予定されていた洗礼の日に高熱を出し、延期になり落ち込んだ経緯があり、その際神学校の先生に、悪魔がキリスト者を増やしたくないから邪魔してるだけ、元気を出せ、と慰めてくれたのが今になっては、いい思い出です。

現在は、小田原の教会で奉仕をしながら、憧れだったイコンを書いています。憧れと言いつつ今まで書いてこなかったのは、特殊な板で組まれた支持体に麻布を引き何層も薄く重ねた石膏板を用意し、卵の黄身に天然顔料を溶かして描く、だなんてことは先生なしに独学でやるにはハードルが高すぎて難しかったのです。とはいえ、とても幸いなことに2021年に入って、コロナ禍にも関わらず、良いイコンの先生に出会いました。SNSを通して出会ったモスクワのイコン画家の夫婦で、所謂「リモート」で教わっています。

こうして私は今、大好きなことをやっています。

私には、天才的な頭脳もなければ、きらりと光る才能もない。神様に与えられたのは、ほんの一欠片、芥子種ほどの才で、それは私が鍛錬すれば十分に成長する素質のあるものですが、逆に何もしなければ永遠に燻っている冴えない火種に過ぎません。

私は、その少しの才を大切に育てながら、イコンを書くこの手を神の世界を賛美するために使いたい。

日本において正教会キリスト教の中でも少数派の中、聖イリナのように少しでも多くの人に正教の世界に触れてもらいたい。

そんな小さな野望を抱きながら、正教会圏の手作り雑貨を届けるショップを営みつつ、イコンを書いていますので、どうぞよろしくお願いします。