イコン紹介1

久しぶりのブログ・TROITSA!

 

イコン関連記事の翻訳やまとめを裏でしっかりやっているのですが、ブログにまとめるにはマニアックな部分が多いので、かなりご無沙汰していました。

 

久しぶりのこの記事では、私が理想としている、特に好きなイコンの写真を載せていくので、よかったら見ていってください!

 

※ロシアのSNS、вконтактеのコミュニティページから、画像を引用しています。

 

1.全能者キリスト

13世紀、コンスタンティノープル 118x89cm

所蔵は、ギリシャのアトス、ヴァタペディ修道院

 

TROITSAが輸入している乳香を生産している修道院です。

いつか行って、このイコンを実際に見てみたい!と思いますが、アトスにあるので、

女性の私は行けません(泣)

 

13世紀のギリシャは、パレオロゴス朝時代で、ビザンツ帝国自体は斜陽にありましたが、逆にキリスト教精神文化の最盛期でもありました。

この頃のイコンがセルビアブルガリアなどの南スラヴの国々を経由して、ロシアに伝わります。ロシアが初めて出会ったイコンは幸運なことに最も完成されたイコンと言ってもよく、その伝統を今でも忠実に引き継いでいます。

 

イコンはよく、写実的でなくのっぺりしていると言われますが、たしかに写実的ではないけれども、しっかり光の陰影で、体の立体感が表現されています。

お顔にはしっかりと凹凸があり、眉上、頬上、鼻など膨らみのある場所には光があたっているのがわかりますし、逆に影に当たる顔周りには暗い色が置かれています。

髪の毛も、外側に向かうにつれて暗い色が置かれ立体感を出しています。

見にくいですが、衣も同様。光が最も当たる向かって左側の肩に、金色の線が集中しています。

このような肖像イコンで、のっぺりして見える原因といえば、お肌の明るいトーンから暗いトーンへの移行が滑らかなグラデーションではなく、その境がくっきりしていること。

このイコンは、そのグラデーションがとても綺麗で、なおかつハイライトでメリハリもあり、イコン特有ののっぺり感がほとんどない作品だと思います。

お顔もあえて左右対称ではないので、写実的ではないのに人間らしさがあり、ギリシャ特有の深い色合いと厳格な表情の調和が特に素晴らしいと思います。